短歌連作

短歌連作「夜明け前」

午前

泣き叫ぶことも出来ずに平熱のままで進行していく病

生臭い風吹き抜ける窓際で授業を聞かずに読む「堕落論」

教科書のKenとJaneのようにもう一度「Hello!」からやり直したい

あの人もぼくを見てくれるだろうかもしもここから飛び降りたなら

もし俺が死んでも君は変わらずに「起立・礼・着席」するんだろ

告白も出来ずに現在進行形のままで今日も失恋はつづく

午後

フランレンタイン・デイにて休校日(ってことにして)海を見に行く

立ち漕ぎで坂を上れば鉄錆びの香と灰色に霞む海原

気まぐれな恋人のいる夢を見る テトラポットにひとりで上る

UFOも海底人も出てこない水平線を眺め続けた



汚される前に汚してやることが生きる証と信じていた日

時折は君を想ってすることもある 満月に覗かれながら

木を植えに行きますティッシュペーパーを無駄遣いした罪滅ぼしに

午前二時ひとり下宿を抜け出して校庭で眺めていた星空

なあ月よ 俺は決して寂しくも淋しくもない だけど、さびしい

人生の役に立たない器具ばかり眠る深夜の理科準備室

星座には入れてもらえぬ幾つもの星のひとつが俺だと思う

友情と恋の代わりに錠剤を二粒飲んで無理やり眠る

俺以外全人類が間違っていると信じている夜明け前


高校生の頃のことを思い出して、二十代の終わりごろに作った連作。
改めて見直してみると、まあまあ出来のいい歌もちらほらあるような気もしないでもない。

しかしひとつ確実に言えることは、もし自分がリアルに高校生の時だったら、絶対にこういう歌は作らないだろう、ということ。
もっと直接的で攻撃的な歌を作るか、それとも架空の恋人でも作ってひたすらロマンチックな歌でも作るか。どちらかというと後者の可能性が高い気がする。
そして、夜更けに何もかも嫌になって、書いた歌を破り捨ててメソメソと泣くのだと思う。・・・うん、それだとポエムが短歌に変わっただけでリアルにぼくの高校時代そのままだな。
あ、そういえば、テトラポット~の短歌はブルーハーツの「テトラポットの上」という曲の本歌取りです。あれは良い曲。

全二十首・・・かと思ったら十九首だった。中途半端だなあ。まあ、そういうところもぼくらしくて良いでしょう。よし、寝よう。
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