短歌結社ネガティヴ活動記録(乱世編・その4)

前回までのあらすじ

東京湾に現れた謎の巨大生物によって壊滅的打撃を受けた首都東京。
治安出動した米軍首脳の下した結論は、核の使用と関東一円の土地を廃棄することであった。
それから数十年後。
日本は、死の大地と化した関東を挟んで、北東日本と西南日本とが、互いに相手の土地の正統な領有権を主張して空しい争いを続けていた。
そんな中密かに囁かれる都市伝説。
関東には生き残りの人間が少数ながら存在している。彼らは巨大生物の子孫を飼いならし、自分達を見捨てた外の人間に復讐する時を虎視眈々と狙っているのだ、とー。

・・・久々に中二病全開な文章を書けてぼく的には大満足ですが、何か?(今日の分はこれで終わってもいいくらいですよ)

さて、それはさておき乱世編のつづき。前回よりさらに長いので、物好きな人は覚悟して読んでください。↑の文章さえ無ければここまで長くはならなかったのに・・・(削らないけどね)

高校を卒業して青森県の印刷会社に就職した吉澤は、そこで、人間関係の構築にものの見事に失敗して、結局、数年でその会社を辞めてしまう事になる。

今なら分かるのだが、要するに、ぼくが高校に入学した時に体験した挫折と同じものを、吉澤は社会人になってから体験したわけだ。

まったくの初対面な人にどう接していいかわからない、というヤツである。

小学校から中学、高校と、ずっと同じ面子と顔を見合わせて生活してきた弊害である。気が合うやつ、合わないやつ、誰がどういうやつなのかを把握していた学生時代と違って、そもそもどういう性格なのかも分からない人と、一から人間関係を構築する訓練を、吉澤はまったく積んでこなかったのだ。

それでも、まあ、普通はどうとでもするのである。
天気の話をしたりとかね。
年齢が近ければそれなりに話題だって見つかる。筈。本来ならば。
しかし、これは吉澤の話だ。
彼はハリウッド映画を見ない。
野球もサッカーも格闘技も嫌いである。
「ジャンプ」も読まない。スラムダンクやドラゴンボールですらロクに知らない。ワンピースも読んでいない。
バラエティ番組もあまり見ない。
他者との共通の話題が極端に少ないのである。

結果、彼は職場で孤立したらしい。
本来はとても明るい男である。しかし、日に日に寡黙になり、表情は暗くなり、ついには体調にまで異変を来たして病院に通うようになった。

当時、ぼくと瀧本は世間知らずの大学生だった訳だが、常識人の瀧本は吉澤に我慢して勤めを続けるよう勧めていた。だが、社会人の大変さも知らぬまま、ぼくは無責任に会社を辞めるよう吉澤をそそのかした。

ぼくは、吉澤の境遇に、高校の頃の自分を重ねていたんだと思う。

どいつもこいつも腹が立つ。
何も知らないくせに。吉澤がどんなやつか知りもしないくせに。
お前らが知らない事をたくさん知ってるやつだ。お前らには想像もつかない事ができるやつだ。
会社の同僚は吉澤を無能扱いしたらしい。
後輩からは「あの人は何で喋らないんですかね?」と陰口を叩かれたとか。
辞表を提出する際には、社長の奥さんから「あんた、性格で損してるよ」と、捨て台詞のように言われたらしい。
ふざけやがってまったく。こっちが大人しいのをいいことに勝手な事ばかり言いやがって・・・と、まあ、当時のぼくはそういう風に思ったわけです。
自分と重ね合わせてます(因みに、彼は後に退職時のエピソードを自虐ネタとして伊集院光のラジオ番組に送って見事採用されていた。ぼくは彼のそういう笑いのセンスが心底うらやましい)。

ただし社会人になった今となっては、瀧本の言ってることが正しかったとつくづく思う。人間我慢が必要です。青臭い理想なんて何にもなりません。苦しい事をしてお金を貰う。そしてそれを楽しいことに使う。それで良いのです。

その後、吉澤は職を転々とする事になる。我慢が足りないのか、理想が大きすぎるのか。その辺は、良く分からない。

ぼくは吉澤を、猿の群れの中に混ざってしまった鳥なんじゃないかと思っている。
もしも、彼に与えられた環境が檻じゃなくて空だったら。
あっと言う間に手の届かないところまで飛んで行ったんじゃないか、と。
地上では、彼は確かに無能だ。翼も嘴も鉤爪も、邪魔なだけでなんの役にも立たない。
然るべき場所さえ与えられれば、素晴らしい能力を発揮する筈だと(勝手に)信じているのだけれど。

才能の九割五分はその人の生まれ育った環境による カリフラ沢ブロッ子

と言いつつも、実は、ぼく自身はこの歌のような考え方には賛同しない。色々書いたけど、ぼくは都会より田舎が好きである。自分の生まれ故郷は素晴らしいところだと思っているし、どんな環境だって才能のある人は必ず頭角を現してくると信じている。

だから吉澤も今に必ず頭角を現すはず、と、信じ続けてもう二十年以上経つ(笑)ぼくは彼をずっと天才だと思っていて、くっついていれば電気グルーヴにおけるピエール瀧みたいなポジション・・・というのはピエール瀧に失礼だから、チャゲアスにおけるチャゲみたいなポジションにつけると信じていたのに(だから失礼だというのに)。そろそろ本領を発揮してください。ぼくの(他力本願な)人生が掛かっているんだから。
お願いします、本当に。
(乱世編その5につづく)
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