嶋田さくらこ歌集『やさしいぴあの』の感想など
ご無沙汰しております。随分長いこと更新をサボってましたが、まだなんとか生きてます。
さて。今回は最近読んだ歌集の感想を書こうと思います。まあ、最近といっても読んだのはかなり前のことなんですが・・・。惹かれる歌、気になる歌が多くて、今あらためて勉強用のメモを読み返してみたら42首に印を付けてました。なので今回はそれを全部引用しつつ感想を・・・書いてしまうといろいろマズイ気がするので(笑)、10首選ということにします。選ぶの難しかったよ。
つま先に灯を点すような恋だった 靴下を履くことを覚えた
日曜のまひるあなたを思うとき洗濯ものもたためなくなる
魔法瓶に一晩泊まってゆくといい 銀色のお湯になれる幸福
新しいいもうと古いいもうともいもうと、わたしはおねえちゃんのまま
ペン先に海があふれる夏休みさいごの嘘はやさしい色だ
町中のいたるところで燃え尽きるホース格納箱の情熱
すいすいと君の体に入ってくうどんに憧れてる昼休み
ハンバーグが夕ごはんなら母さんが正々堂々泣きたい日です
冒険が終わった先を記さない本の作者のような恋人
ある朝に深海6000メートルへ沈む決意の月をとめたい
『やさしいぴあの』は書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」中の一冊として昨年末刊行された著者の第一歌集。タイトルどおり、やさしくて切ない恋の歌が多数収録されています。おっさんとしてはちょっと気恥ずかしくなるような歌も無いではないですが、さくらこさんの歌は常に自分の外側に広がる世界、そこに居る誰か(何か)へと眼差しが向けられていて、ともすれば内面に沈潜していくばかりの俺にとってはそういうところがとても眩しいのです。いくつかの歌について、ちょっとした感想を書いてみます。
一首目、「爪に火を点す」は貧乏とかケチとかそういうものの例えですが、ここで点っているのは火じゃなくて「灯」。つま先にひっそりと光る、仄かな恋心。靴下を履くのはそれを消さないようにするためか、それとも隠してしまうためか。
四首目は「いもうともいもうと」のような平仮名の使い方が面白い。
五首目、これは夏休みの絵日記を描いているところではないか、と妄想。最終日にまとめて描いているため、いろいろといい加減な内容の絵日記。その最後に描いたのは、幻の海で遊ぶ幻の自分の姿。切ない。
七首目、うどんに憧れるという発想は無かった。同じページには「魚の小骨にだってなりたい」というのも。恋人と同化したい、むしろ恋人そのものになってしまいたい、とでもいうような。こういうのは女性の発想なのかなあ、という気がする。
ふう。言いたい事はもっともっとあるのですがキリがないのでこの辺で。代表作というべきいくつかの歌はあえて選から外しているので、もっと読みたい人は歌集を買うと良いです。
嶋田さくらこさんは「twitterアカウントを持っていれば誰でも投稿でき」、「投稿すれば必ず掲載され」、「掲載誌は無料で送ってもらえる」という夢のような本『うたつかい』の編集長。いつもお世話になっております。みんなも投稿しようね。俺の歌も読めるし。
あ、それから来る7月19日にはさくらこさんをはじめ関西の若手・中堅歌人が一同に会すると言っても過言ではない一大イベント「大阪短歌チョップ」がありますよ。俺は遠方なので行けませんが、近隣の方は女房を質に入れてでも行ったほうがいいです。
イベントが盛り上がる→短歌ファンが増える→俺の短歌を読んでくれる人も増える→桶屋が儲かる、ということで。皆で桶屋を盛り立てていこうぜ!じゃあ、また近いうちに。新鋭短歌シリーズの他の歌集の感想も書くつもりはありますが、予定は未定。でもそのうちきっと書いてやるからな!震えて眠れ!
そんなこんなで、おやすみなさい。
さて。今回は最近読んだ歌集の感想を書こうと思います。まあ、最近といっても読んだのはかなり前のことなんですが・・・。惹かれる歌、気になる歌が多くて、今あらためて勉強用のメモを読み返してみたら42首に印を付けてました。なので今回はそれを全部引用しつつ感想を・・・書いてしまうといろいろマズイ気がするので(笑)、10首選ということにします。選ぶの難しかったよ。
つま先に灯を点すような恋だった 靴下を履くことを覚えた
日曜のまひるあなたを思うとき洗濯ものもたためなくなる
魔法瓶に一晩泊まってゆくといい 銀色のお湯になれる幸福
新しいいもうと古いいもうともいもうと、わたしはおねえちゃんのまま
ペン先に海があふれる夏休みさいごの嘘はやさしい色だ
町中のいたるところで燃え尽きるホース格納箱の情熱
すいすいと君の体に入ってくうどんに憧れてる昼休み
ハンバーグが夕ごはんなら母さんが正々堂々泣きたい日です
冒険が終わった先を記さない本の作者のような恋人
ある朝に深海6000メートルへ沈む決意の月をとめたい
『やさしいぴあの』は書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」中の一冊として昨年末刊行された著者の第一歌集。タイトルどおり、やさしくて切ない恋の歌が多数収録されています。おっさんとしてはちょっと気恥ずかしくなるような歌も無いではないですが、さくらこさんの歌は常に自分の外側に広がる世界、そこに居る誰か(何か)へと眼差しが向けられていて、ともすれば内面に沈潜していくばかりの俺にとってはそういうところがとても眩しいのです。いくつかの歌について、ちょっとした感想を書いてみます。
一首目、「爪に火を点す」は貧乏とかケチとかそういうものの例えですが、ここで点っているのは火じゃなくて「灯」。つま先にひっそりと光る、仄かな恋心。靴下を履くのはそれを消さないようにするためか、それとも隠してしまうためか。
四首目は「いもうともいもうと」のような平仮名の使い方が面白い。
五首目、これは夏休みの絵日記を描いているところではないか、と妄想。最終日にまとめて描いているため、いろいろといい加減な内容の絵日記。その最後に描いたのは、幻の海で遊ぶ幻の自分の姿。切ない。
七首目、うどんに憧れるという発想は無かった。同じページには「魚の小骨にだってなりたい」というのも。恋人と同化したい、むしろ恋人そのものになってしまいたい、とでもいうような。こういうのは女性の発想なのかなあ、という気がする。
ふう。言いたい事はもっともっとあるのですがキリがないのでこの辺で。代表作というべきいくつかの歌はあえて選から外しているので、もっと読みたい人は歌集を買うと良いです。
嶋田さくらこさんは「twitterアカウントを持っていれば誰でも投稿でき」、「投稿すれば必ず掲載され」、「掲載誌は無料で送ってもらえる」という夢のような本『うたつかい』の編集長。いつもお世話になっております。みんなも投稿しようね。俺の歌も読めるし。
あ、それから来る7月19日にはさくらこさんをはじめ関西の若手・中堅歌人が一同に会すると言っても過言ではない一大イベント「大阪短歌チョップ」がありますよ。俺は遠方なので行けませんが、近隣の方は女房を質に入れてでも行ったほうがいいです。
イベントが盛り上がる→短歌ファンが増える→俺の短歌を読んでくれる人も増える→桶屋が儲かる、ということで。皆で桶屋を盛り立てていこうぜ!じゃあ、また近いうちに。新鋭短歌シリーズの他の歌集の感想も書くつもりはありますが、予定は未定。でもそのうちきっと書いてやるからな!震えて眠れ!
そんなこんなで、おやすみなさい。
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