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短歌結社ネガティヴ活動記録(乱世編・その9)

前回までのあらすじ。

嘘秋田県にある嘘四年制大学をちゃんと四年で嘘卒業した瀧本だったが、嘘就活に失敗し嘘彼女と別れ、嘘地方紙製作会社を嘘退職した後に嘘親戚の嘘建設会社で嘘労働に勤しむ毎日であったのだが(嘘彼女と嘘就職以外は嘘表記)。

さて、つづき。

建設会社の仕事も不規則かつ不定期で、当時は結構長期間にわたる休業状態になる事も多かったらしい。家で一人やる事も無くぼんやりしていると気が滅入ってくるもので、あの頃の瀧本は温厚な彼とも思えないほど情緒不安定であり、はっきり言って鬱状態だった。

一方その頃周囲の人間達はと言うと、吉澤は職を転々として落ち着きが無く、藤井君は東京でやさぐれ生活で、ぼくはといえば大学を辞めてしまったばかり。
ようするにみんな揃ってロクでもない状況で、人のことを心配している場合じゃないのだけれど、何となく我ら駄目人間コミューンのリーダーになってしまっている瀧本は、自分の心配だけでなく周りの連中の境遇にまで心を痛めてしまったらしい。一時期本当に参ってしまって、鬱病の薬を処方してもらうまでに追い詰められた。

この頃から瀧本は短歌を作り始めているらしい。二首引用する。

会社にて一日地図など眺めおりすることもなし給料もなし

弟の勉強見てやる心やさしき我は無職でただ家に居る


一首目は地方紙製作会社時代、二首目はそこを辞めた直後くらいに作ったものらしい。

にしても、なぜ短歌だったのか。本人に聞いても「なんとなく」というような答えしか返ってこない。心の弱った人を引き付ける力が短歌にあるのは確かだけど、当時の瀧本には「この歌人のこの歌が好きだ!」というようなものもあまり無かったようだし。謎である。

家でぼんやりとしていた失業者の瀧本を見るに見かねてか、一年間の臨時職員として村の診療所で受付の仕事をしないかという話が舞い込んでくる。彼はその仕事を通じて知り合った女性に生涯何度目かの恋に落ち、最終的には携帯電話を着信拒否されるという面白・・・ん、ん、悲しい終わりを迎える事になる。

彼の証言によると、枡野浩一著『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房刊)を読んで衝撃を受けたのはその後、臨時職員の期間も終わり恋も終わり、失業保険をもらいながら再び家でぼんやりとしていた頃だそうだ。鬱病が一番酷かったのもその頃だったようである。自分の持て余している鬱屈を吐き出すための最良の手段を、彼はその時ようやく手に入れたのだった。
2001年のことだという。1998年に大学を卒業してから既に3年が経っていた。

ちなみに、迷走に告ぐ迷走の挙句、結局彼は親戚の建設会社に戻り、今もそこで勤めている。最近、また失恋したらしいですよ。・・・幸あれ。
(乱世編その10につづく)
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